うちからそう遠くないところに、ガラス作家・山下理恵さんの工房はあります。高台の坂道の途中に大きな桜の木があって、そこから見える畑の中にあるので坂道を通る時には工房がよく見えます。
天井の高い工房の中はレンガの窯。丸く開いた窓からオレンジ色の炎が見えます。そしてゴォーっと響く、バーナーの音。
長い棒の先を窯の中に入れて取り出し、吹いた後、形を整え、さらに窯の中へ。これを繰り返しているうちに、水あめのようなガラスが少しずつ大きくなっていきます。
その工程が面白くて見入ってしまいますが、ここは工房。ものづくりの現場に漂う、特有の緊張感がここにもあり、こちらにもじんわり伝わってきます。邪魔にならないよう、離れたところから静かにぱちり、ぱちり。。ガラス作家・山下理恵さんの作品が生まれてくる場所は、こんなところでした。
それにしても、作ることに没頭している人はかっこいい。 文・たぐちりつこ