最近、11月も後半になるとクリスマスの飾り付けを見かけるようになった。「売らんがな」の世界では、昔より季節は少しずつ早まっているようだけど、これもしかたがないのかもしれない。でも、きらきらした飾りやリボンや素敵なプレゼントが入っていそうな箱は、いくつになってもワクワクするから、街がそんな演出に包まれるのは、いいことだと思う。
子どもたちが幼かった時は、大忙しだった。最初の頃は、クリスマスっぽい柄の布を壁にかけたりツリーを飾ったりするくらいだったが、オブジェやオーナメントを毎年買い、部屋の飾りつけも年々大がかりになっていった。庭のレンガを持ち込んで小さい「暖炉」のような演出をやってみたり・・・「今年はどんなふうにしましょ?」と考えるのも楽しくて、そのころの私にとって12月は、一年の内で最も充実した時間だった。
もう少し話せば、あの頃は家事・子育てと学校や地域の役員といった仕事が私にとってすべてだったので、それ以外のことで自分らしくありたかったのである。
クリスマスの飾りから気持ちが離れていったのは、子供たちが大きくなり、それほど喜ばなくなったから。そして、私自身も仕事を始めて、クリスマスの飾りつけに「自分らしさ」を投影する必要がなくなった。今も残っているクリスマスの仕事は、イブの夜にローストチキンを焼くことだけである。
今回、ひとてま堂で扱っているアクセサリーでクリスマス向けの撮影をした。久しぶりに「クリスマス用」と書かれた段ボール箱を開けてみると、せっせと買い集めたオブジェやカードがたくさん出てきた。すっかり忘れていたが、我ながらほめてあげたいくらい、かなり素敵なものばかりである。それを使って矢吹公乃さんと岩垣奈保さんのアクセサリーを撮影した。本当はこんな箱がいくつも押し入れに入っているのだが、それをみんな開けてしまうと撮影どころではなくなってしまいそうだったので、一番手前の1つだけを開けた。そうやって撮ったのがこのページの写真たちです。ゆっくりご覧くださいませ。
文・たぐちりつこ(写真をクリックすると各ページに移動します)